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民法改正で消滅時効期間が変わります。

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「民法の一部を改正する法律案」(以下、民法改正法案)が、平成27 年3 月31日に閣議決定され、同日、国会に提出されました。平成27 年に成立・公布され、平成30 年には施行される見込みです。


改正事項の一つに、「消滅時効」の改正があります。


(1)消滅時効期間

現行では、消滅時効期間は次のとおり規定されています。


現行民法では、

① 債権の消滅時効期間は、権利を行使できる時から10年。(167条1項)
② 職業別に短期消滅時効の定めがある。(170条~174条)
  (医師3年、弁護士2年、卸・小売商人2年、飲食店1年 など)
③ 定期金の債権(年金、地代など)は、第1回の弁済期から20年間または最後の弁済期から10年。
④ 損害賠償請求権の消滅時効期間は、損害の発生または加害者を知った時から3年。また、不法行
為があった時から20年(除斥期間) 経過すると消滅する。


現行商法では
① 商事債権の消滅時効は5年。(商法522条)



民法改正法案では、次のとおりです。

① 債権者が権利行使できることを知った時から5年、または権利行使できるときから10年。
(改正 166条)
② 定期金の債権を行使できることを知った時から10年または債権を行使できる時から20年。
(改正 168条)
③ 職業別の短期消滅時効を廃止。
④ 損害賠償請求権の消滅時効期間は、損害の発生または加害者を知った時から3年。また、不法行為があった時から20年。(除斥期間から消滅時効期間への変更・・時効の中断ができるようになった)

(改正 724条)


なお、商法522条(商事債権の消滅時効)は廃止される見込です。


(2)呼称変更(時効の中断・停止から時効の更新・完成猶予へ)と事由変更

 「時効の中断」は「時効の更新」へ、「時効の停止」は「時効の完成猶予」へと、呼称が変わります。
  時効の中断(更新)事由とされていた以下の事由は、時効の停止(完成猶予)事由になります。
   ①裁判上の請求・・事由が終了するまで
   ②仮差押、仮処分・・事由が終了するまで
  
  また上記以外に以下の時効の停止(完成猶予)事由が規定されます。
   ③強制執行、担保権の実行、支払督促・・事由が終了するまで
   ④催告・・その時から6月を経過するまで
  
  つまり、改正民法での、時効が中断(更新)事由は、以下の場合となります。
   ①勝訴判決が確定したとき
   ②強制執行・担保権実行が終了したとき
   ③債務者が債務を承認したとき
 


(3)協議合意による時効完成猶予

 現行民法では債権者と債務者が債権に関して協議中あっても、時効中断のため訴訟を起こすなどの措置が必要です。
  
 改正民法では協議を行う旨の書面合意があったときは、合意から1年間は時効完成猶予の措置が取られることになりました。
 協議合意による猶予期間中にあらためて協議合意したときは、再度時効完成が猶予されます。(ただし当初の時効満了日から5年以内)



 また、当事者が相手方に協議続行拒否の書面通知をしたときは、完成猶予期間は、通知のときから6月間となります。 


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 消滅時効の規定は、税理士にとっても、お客様の債権保全のために必要なものですのでキチンと押さえておきたいところです。





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