ytaoのブログ

新しく事業を始めた方のために有意義な情報を発信します。

東芝の不正会計に思う

 
にほんブログ村 税理士                       http://y-koji.wix.com/yano


 東芝は12月21日月曜日の午後、家電事業で国内外7800人の大リストラ策を発表しました。すでに発表している半導体事業の2800人リストラ策と合わせると人員削減は1万600人に達することになります。職を失うことになる従業員の心痛はいかばかりかと、思うに余りあります。


 東芝はリーマンショックのあった2008年頃から不正会計問題が内部告発により発覚する2015年3月に至るまで工事原価を実際よりも低くする操作により1500億円にも上る粉飾をおこなっていたことが分かっていますが、会計数値を軽んじる経営者の考え方に大変ショックを受けます。


 2015年7月29日(水)放送のNHKのクローズアップ現代の番組の中で、東芝の子会社の元社長の次のような証言がありました。


「西田(2008年当時の社長)さんはあからさまに『経理なんて言われたとおりに数字をつけておけばいいんだ』と発言し、そうした考えがほかの幹部の間でも広がっていった。 西田さん以来、経理の立場が弱まった」


 数字の持つ意味を全く理解していない発言に驚かされます。


 言うまでもなく、会社のすべての取引は会計仕訳を通して会計帳簿に記録され、その結果は貸借対照表と損益計算書に凝縮されます。貸借対照表は会社の保有する財産のすべてが表示され、またその財産を得た出所として外部の負債によるものかまたは自己の資本によるものかが明らかにされます。損益計算書は、その年度の収益とそれに対応する費用が対立表示されその結果、年度の経営成績とも言うべき
当期損益が計上されます。


 経営者はこの数値のそれぞれの持つ実態的意味合いをよく認識し、解析し現行の経営計画に修正を加えまた次の経営計画に反映しなければなりません。つまり会計数値はPDCAサイクルの重要な要素なのです。


 数値はときに経営者としては俄かに認めたくない厳しい現実を突きつけますが、それをベールで被うようなことをしても何にも変わらないどころか、痛みのない病を放置し病癖が進行するように、赤字が膨らんでいくだけです。とく株式公開企業にあっては株主をだますことになりますから正に犯罪行為です。
 
 経理数値がいかに会社の実態を如実に表しているかを経営者は侮らずよく理解しなければなりません。そのうえで、大会社といえども、その経営者は経営実態が厳しい時こそ基本に立ち返り、キチンと帳簿をつけ、その数値をよく解析し、力づよく業績転換をはかる勇気がいると思いました。

×

非ログインユーザーとして返信する