ytaoのブログ

新しく事業を始めた方のために有意義な情報を発信します。

平成28年の法人税法改正について

 平成28年4月1日以後に開始する事業年度から改正適用されるものについて、特に中小法

 人(資本金、出資金が1億円以下)に関係が深いと思われるものを取り上げてみまし

 た。


 1.税率の変更

  課税所得800万円超では現在23.9%ですが平成28年4月1日以後開始する事業年度では

 23.4%に、平成30年4月1日以後に開始する事業年度では23.2%に下がります。

 (課税所得800万円以下については現在15%ですが、平成29年4月1日以後に開始する事

 業年度では19%に上がることがすでに決まっています。)


 2.青色欠損金の繰越期間延長

  青色欠損金(青色申告事業年度に発生した欠損金)はその後10年(改正前は9年)に

 亘り各事業年度の課税所得から控除できることとなりました。

  これにより、欠損事業年度の帳簿書類の保存期間および更正請求期間も10年になりま

 した。


 3.減価償却の変更

 (1)平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備については償却方法が定額法のみと

  なりました。定率法は選択できなくなりました。

 (2)少額資産(取得価額30万円未満)の全額損金算入制度が2年間延長されました。


 4.雇用者数が増加した場合の税額控除の変更

 (1)「税額控除額=40万円×雇用者増加数(適用事業年度の期末人員-前期末人員)」

  から「税額控除額=40万円×特定地域雇用者増加数(注)」に変更されました。


 (注)地域雇用開発促進法に規定する同意雇用開発促進地域内にある事業所に新たに雇

  用された者の数。同意雇用開発促進地域は全国28道府県、102地域がしていされてい

  ますが一部の地方都市を除き都市圏は含まれていません。


 (2)雇用者給与等の支払総額が増加した場合の特別税額控除との重複適用ができるよ

  うになりました。ただし計算方法が変わりました。

   (変更前)

    .税額控除限度額=雇用者給与等支給増加額×10%

   (変更後)

    .税額控除限度額=(雇用者給与等支給増加額-(1人当たり給与×特定地域雇用者増

    加数)×30%)×10%


  *以上は改正の骨子ですので、詳細は国税庁のホームページをご覧ください。

   平成28年度 法人税関係法令の改正の概要|パンフレット・手引き|国税庁

東芝の不正会計に思う

 
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 東芝は12月21日月曜日の午後、家電事業で国内外7800人の大リストラ策を発表しました。すでに発表している半導体事業の2800人リストラ策と合わせると人員削減は1万600人に達することになります。職を失うことになる従業員の心痛はいかばかりかと、思うに余りあります。


 東芝はリーマンショックのあった2008年頃から不正会計問題が内部告発により発覚する2015年3月に至るまで工事原価を実際よりも低くする操作により1500億円にも上る粉飾をおこなっていたことが分かっていますが、会計数値を軽んじる経営者の考え方に大変ショックを受けます。


 2015年7月29日(水)放送のNHKのクローズアップ現代の番組の中で、東芝の子会社の元社長の次のような証言がありました。


「西田(2008年当時の社長)さんはあからさまに『経理なんて言われたとおりに数字をつけておけばいいんだ』と発言し、そうした考えがほかの幹部の間でも広がっていった。 西田さん以来、経理の立場が弱まった」


 数字の持つ意味を全く理解していない発言に驚かされます。


 言うまでもなく、会社のすべての取引は会計仕訳を通して会計帳簿に記録され、その結果は貸借対照表と損益計算書に凝縮されます。貸借対照表は会社の保有する財産のすべてが表示され、またその財産を得た出所として外部の負債によるものかまたは自己の資本によるものかが明らかにされます。損益計算書は、その年度の収益とそれに対応する費用が対立表示されその結果、年度の経営成績とも言うべき
当期損益が計上されます。


 経営者はこの数値のそれぞれの持つ実態的意味合いをよく認識し、解析し現行の経営計画に修正を加えまた次の経営計画に反映しなければなりません。つまり会計数値はPDCAサイクルの重要な要素なのです。


 数値はときに経営者としては俄かに認めたくない厳しい現実を突きつけますが、それをベールで被うようなことをしても何にも変わらないどころか、痛みのない病を放置し病癖が進行するように、赤字が膨らんでいくだけです。とく株式公開企業にあっては株主をだますことになりますから正に犯罪行為です。
 
 経理数値がいかに会社の実態を如実に表しているかを経営者は侮らずよく理解しなければなりません。そのうえで、大会社といえども、その経営者は経営実態が厳しい時こそ基本に立ち返り、キチンと帳簿をつけ、その数値をよく解析し、力づよく業績転換をはかる勇気がいると思いました。

新規開業の場合の消費税課税事業者の選択

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事業開始当初は何かと出費が先行し、事業損益が赤字となることが多いようです。ご承知のように、新規開業した事業者の場合、初年度と次年度は消費税の免税事業者ですが、一定期間の通算事業損益が赤字になり消費税の還付を受けられる見込みであれば、消費税の還付を受けるために課税事業者選択を検討してみてはどうでしょうか。



新規開業後の初年度、次年度は原則として免税事業者


  個人事業者の場合は新規開業年度とその翌年度、法人の場合は設立事業年度とその翌事業年度は原則として免税事業者です。


課税事業者を選択する方が有利な場合


  課税売上に係る消費税額よりも課税仕入れ等に係る消費税額が大きいときは、その差額を還付してもらうことができます。

  ただし、新規開業した事業者は、免税事業者ですから、何もしなければこの還付を受けることができません。


   新規開業した事業者が還付を受けるためには、自ら課税事業者になることを選択し、適用を受けようとする課税期間の開始日の前日まで(新規開業の場合は、適用を受けようとするその最初の課税期間中)に税務署に届け出る必要があります。 

 

  ただ一旦届け出ると、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間まで(具体的には、個人事業者の場合は届出た年から翌年まで、法人の場合は届出た事業年度から翌々事業年度までは免税事業者に戻ることはできません。(注) 

 

   ()基準期間の課税売上高が1000万円超となるとき(または特定期間*の課税売上高若しくは給与等支払額が1000万円超となるとき)は課税事業者となります。


   *特定期間とは、個人事業者の場合は前年1月1日から630日まで、法人の場合は前事業年度の開始日から6月の期間。



課税事業者を選択する方法


 免税事業者が課税事業者になることを選択する場合は、適用を受けようとする課税期間の開始前(新規に事業を開始した課税期間の場合には、その課税期間中)に「消費税課税事業者選択届出」を税務署に提出します。


免税事業者に戻る方法


 課税事業者を選択していた事業者が選択をやめよう(免税事業者に戻ろう)とする場合は、免税事業者に戻ろうとする課税期間の開始前に「消費税課税事業者選択不適用届出書を税務署に提出します。


 ただし、上で述べたとおり、個人事業者の場合は届出た年の翌年末まで、法人の場合は届出た事業年度の翌々事業年度までは、免税事業者に戻ることはできません。


 また、課税事業者となった日から2年を経過する日までに開始した各課税期間中に調整対象固定資産*を購入しかつ確定申告を一般課税で行ったときは、その購入した日の課税期間の初日から3年間、免税事業者にはなれません。


調整対象固定資産とは、税抜購入価額が100万円以上の固定資産をいいます。


                                                           以上